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未来へ向かう図書館」国際学術シンポジウムおよび第十一回上海国際図書フォーラムが上海図書館東館で開催

   「未来へ向かう図書館」国際学術シンポジウムおよび第十一回上海国際図書フォーラム(SILF2022)が、2022年10月28日に上海図書館東館で執り行われました。このイベントの開幕セレモニーには、専門家らや上海図書館理事会理事長の余秋雨氏、上海図書館学会理事長の周徳明氏、中国エンジニアリサーチデザインの巨匠とも言える上海建築デザイン研究院有限公司顧問建築師の唐玉恩氏、上海建築デザイン研究院有限公司総建築師姜世峰氏、上海建築デザイン研究院有限公司建築三院院長補佐および総建築師補佐の厳賚贇氏、上海図書館中国共産党委員会書記の楼巍氏、上海図書館館長の陳超氏そして上海図書館副館長の劉煒氏が参加しました。
 今回のシンポジウムは「クラウド参加」方式が採用され、オンラインとオフライン双方で討論し合い、各種のプラットホームを利用したライブイベントとなり、上海図書館ウェイシン(WeChat)ビデオ、中国国家知識基礎施設(CNKI)による教育オンラインのプラットホームなどを使用し全プログラムが放映されました。開幕セレモニーの司会は、上海図書館中国共産党委員会副書記である楊咏梅氏が務めました。

上海図書館中国共産党副書記楊咏梅氏による開幕セレモニーの司会


   上海図書館中国共産党書記である楼巍氏が歓迎のあいさつし、オープンしたての上海図書館東館に来場したゲストらや代表者たちが手厚く迎えられました。そして、図書館界や建築界の専門家らが活発な交流と討論により互いの思想を提示し刺激し合い、図書館事業に関わるノウハウを深めるものとなることに期待を示しました。

上海図書館中国共産党委員会書記楼巍氏による歓迎のあいさつ


   中国国家図書館館長の熊遠明氏がビデオメッセージを送り、その中で図書館が専門化、現代化、国際化に向かっていることを指摘し、未来へ向かう図書館には無限の可能性があることについて触れました。さらに同氏は、図書館は持続可能な社会的発展のために、情報サポートとサービス保障を提供するべきであり、そうした未来の図書館像が図書館全ての共通認識であることを願うと語りました。

中国国家図書館館長熊遠明氏によるゲスト挨拶


   今回のフォーラムの主要報告が行われ、3名によるレポートにより図書館の発展的な意見や見解が共有されました。主要報告プログラムは、上海図書館副館長である劉煒氏による司会で進められました。

上海図書館副館長劉煒氏による司会の主要報告

   上海図書館理事会理事長の余秋雨氏は「文化の発展と図書館の未来」という主要報告を行いました。同氏は、自らの学習および読書経験から、図書館は人間が求める文化的雰囲気、文化的アイデンティティ、文化そのものが集まる重要な場所であるため、若者たちが度々図書館に訪れるよう呼びかけるなら、彼らが文化思想という糧を十分に吸収できることについて語りました。

上海図書館理事会理事長余秋雨氏による主要報告

  
   国際図書館連盟(IFLA)主席のバーバラ・リゾン氏は「図書館のために生まれた国際図書館連盟-図書館は国際図書館連盟と共に発展する」という主要報告を行いました。同氏は、国際図書館連盟は高レベルの図書館情報サービスの提供や、良質な図書館情報サービスのメリットの周知を含め、国際図書館連盟の成員を代表し同成員らのベネフィットを重要な目標として掲げながら活動していることを強調するとともに、世界の図書館が持続可能な発展を遂げることができるよう積極的な働き掛けを行なっていることについて触れました。同時に、図書館は常に変化する世界の中でそれぞれの使命を果たし、将来性のある方向性を有することを呼びかけました。

国際図書館連盟(IFLA)主席バーバラ・リゾン氏による主要報告


  
   上海図書館館長の陳超氏は「世界と未来に向かう上海図書館」という主要報告を行いました。同氏は、複雑さを伴う変化の激しいこの世界と不確実性に満ちた将来にあって、オムニメディアやビッグデータは新たな読書革命を生じさせる展開を見せており、大読書時代における図書館は、主体的にスマート複合型図書館へとモデルチェンジしてゆく方向性へ素早くかじ取りを行なう必要があることについて述べました。

上海図書館館長陳超氏による主要報告

 

シンポジウムが行われた会場の様子

 




「未来へ向かう図書館」国際学術シンポジウムおよび第十一回上海国際図書フォーラム-テーマフォーラムの開催

  10月28日の午後、「未来へ向かう図書館」国際学術シンポジウムおよび第十一回上海国際図書フォーラム(SILF 2022)「新世代図書館空間建設と技術発展」をテーマとしたフォーラムプログラムと、「図書館建設の昨日、今日そして明日」という主題に基づいた討論会が上海図書館東館で執り行われました。
「新世代図書館空間建設と技術発展」をテーマとしたフォーラムでは、上海図書館副館長の徐強氏が司会を務め、中国マカオ大学図書館館長の呉建中氏、同濟大学建築・都市計画学院院長の李翔寧氏、UAPアジアオフィス責任者のデーン・カーリー氏、上海図書館副館長の劉煒氏、アメリカ・コーネル大学図書館副館長のシメオン・ワーナー氏がそれぞれ順番にテーマ報告を行いました。





    上海図書館副館長徐強氏によるテーマフォーラムの司会 

  呉建中館長は「上海図書館東館から図書館建築発展の動向を見る」という報告の中で、図書館はただ本やデータを集めた場所ではなく、学習、交流、創造性のあるサービスを提供する空間であることについて指摘しました。モデルチェンジ後の図書館は、情報と知識を活用しながら幅広い利用者にサービスを提供する、どこにでもある拠点となる施設であり、情報や思想的な交流を得る場所となるだけでなく、利用者が生活、学習、仕事において常に創造性のある新たな価値を見いだす場所となることについて話しました。

 

中国マカオ大学図書館館長呉建中氏によるテーマ報告

    李翔寧院長は「図書館-現代文化の受け皿」というテーマ報告の中で、フランス国立図書館、エクセター・アカデミー図書館、天津浜海図書館、エジプト・新アレクサンドリア図書館、シアトル公立中央図書館、コロンビア・サントドミンゴ図書館、ケンブリッジ大学マグダレン学院図書館、馮驥才図書館など様々なスタイルの図書館建築について情報をシェアし、異なる年代や各地に点在する図書館が持つそれぞれの特徴について触れ、「図書館性」が十分に体現されていることについて指摘しました。

同濟大学建築・都市計画学院院長李翔寧氏によるテーマ報告

 

  デーン・カーリー氏は「デザイン表現-文字コンテンツからアート作品に至るプロジェクト」の中で、上海図書館東館のアート作品を紹介し、最初の構想、計画、アーティストの選抜からコンセプトの提案や細かなデザインに至るまでの内容や、プロジェクトの最終製作や授受の経緯について話しました。

UAPアジアオフィス責任者デーン・カーリー氏によるテーマ報告

劉煒副館長は「プラットホーム、コミュニティ、エコロジー-スマートアプリケーションが第三世代図書館に賦与するもの」の中で、「上海図書館雲瀚(FOLIO)」が企画から基本的な構築が成され、その後のアプリケーション開発に至るまでの具体的な状況について説明しました。「雲瀚(FOLIO)理念」やコミュニティサポート、オープンソース、インダストリーアプリケーションプラットホーム、さらには図書館業界のITエコシステムによる解析など、未来のスマート図書館「雲瀚(FOLIO)DAO」構築に対し期待感を示しました。

上海図書館副館長劉煒氏によるテーマ報告


  シメオン・ワーナー副館長は「未来の図書館をサポートするテクノロジーとスタンダードコーポレーション」の中で、図書館はインスピレーション、スタディ、コミュニケーション、クリエイティブを生み出すための物理的な空間であると述べ、図書館がリアリティの世界とバーチャルの世界が融合した、デジタル体験を読者らに提供することに期待感を示しました。さらに、次世代図書館のオフライン業務やオンライン体験双方のテクノロジーサポートについてスポットを当て、出席者らと情報を共有し合いました。

 

米国コーネル大学図書館副館長シメオン・ワーナー氏によるテーマ報告

   「図書館建設の昨日、今日そして明日」というテーマ討論会は、上海市図書館学会理事長の周徳明氏により司会が行われました。

 

上海市図書館学会理事長周徳明氏によるテーマ討論会の司会


 中国エンジニアリサーチデザインの大御所であり、上海建築デザイン研究院有限公司顧問建築師である唐玉恩氏、上海図書館副館長の徐強氏、デンマークSHL建築オフィスパートナーでデザイン総監督のクリス・ハーディー氏、上海建築デザイン研究院有限公司建築三院院長補佐で総建築補佐である厳賚贇氏らが一堂に会し、建築空間の変遷が図書館機能向上を促進する作用があることについて討論しました。唐玉恩氏は、上海図書館淮海路館および東館の設計について回顧しつつ同様の話題をシェアし合いました。クリス・ハーディー氏は、デザイナーらが異なる文化や場面で「都市型図書館」を設計した感想を語りました。厳賚贇院長補佐は、上海少年児童図書館新館におけるデザインの特徴や空間アレンジの新たな点について話しました。徐強副館長は、図書館建築の本質や上海図書館東館の新たな業務の発展について触れ、アプリケーション新技術、新たなサービスの実施などに期待感を示しました。

テーマ討論会の様子

「未来へ向かう図書館」国際学術シンポジウムおよび第十一上海国際図書フォーラムが閉幕

 

 「未来へ向かう図書館」国際学術シンポジウムおよび第十一回上海国際図書フォーラムが、2022年10月28日の午後に上海図書館東館で閉幕しました。100名近くの代表者らが今回のイベント会議に出席し、10名ほどの中国国内外の専門家らが学術的な情報の共有し合い、1万3500名がオンラインによる会議に参加しました。上海図書館副館長の林峻氏が閉幕のあいさつを行いました。

 

上海図書館副館長の林峻氏によるフォーラム閉幕のあいさつ

 

 今回のフォーラムのテーマは「未来へ向かう図書館」で、図書館界や建築界の専門家や学者らが図書館建築や図書館およびアート作品、情報技術が次世代図書館に及ぼすものについて話し合い、最新の研究や実践による成果を互いに共有しながら、様々な角度から図書館の未来への発展に関わる新たな思考や見解について理解し合うことにより、図書館理論や実践プロジェクトにおいて多大な益をもたらす糧を得る機会となりました。
 上海国際図書フォーラムは2002年に始まり、これまで20年間続けられています。そのため、業界における専門的な学術フォーラムとして一定程度の知名度を得ており、中国国内の図書館事業進展を促進するための、国際的な図書館業界の交流による積極的な後押しがされています。上海図書館は、この先も協力し合うという理念を貫き通し、国際的な交流を強化してゆきながら、上海国際図書フォーラムがなお一層特色あるものとなるよう努め、上海が社会主義の国際文化大都市となるために更なる貢献をしていきます。