ホーム >> 中国図書館だより >> テキスト
中国図書館だより
中国国内公共図書館のバラエティに富む「ブック・トレード」イベント

  中国の公共図書館における初期のブック・トレード・イベントは、主として図書館相互の所蔵図書の補充を目的とし、各機関の間とりわけ図書館間の事務的なトレードが実施されてきました。その後、インターネット技術の絶え間ない進歩やシェリングエコノミーという概念が叫ばれるにつれ、個々の読者を対象にしたブック・トレード・プラットフォームが形成され、様々なスタイルのトレード方式やトレード・ルートが確立されています。

  1, 漂流図書
 読者が読まなくなった本を無償で他の読者に提供し、その図書を受け取った読者が読み終わった後、さらに別の読者に渡してゆき、当該図書が移動するエリアや時間帯は限定されない形式で読まれる図書は、あたかも漂流瓶のように様々な読者の手に渡ることから「漂流図書」と呼ばれています。たとえば、山東省の済南市図書館においてそのように「行き来」する漂流図書活用プラットフォームは、まさにこの事案の成功例と言えます。
  2,「図書市場」モデル
 ひとつのモデルは、お金を払って手に入れるトレードモデルですが、これは図書館がトレードのプラットフォームとなって「ガレージセール」の主宰者を募り、主催者は自分の読まなくなった書籍を売るスタイルです。例として、浙江省温州市図書館が開催する「温図書市」がそのよいケースと言えるでしょう。
 他のモデルとして、物々交換方式で行なうトレードですが、この場合読者は図書をブック・トレード・チケットもしくはポイントに交換し、そのチケットやポイントで本のトレードを行ないます。このトレード方式は金銭的な売買ではなく、本と本を交換するというシンプルなケースです。この案例に関しては、2011年4月、首都図書館連盟が主催し、国家図書館および北京市区県図書館連合が連携パートナーとなって開催された「北京ブック・トレード・フェア」の第一回が北京で催された際、1000名以上の読者が参加し、1万冊近い本がトレードされました。
 3,寄贈ブック・トレード・センター
 中国国内の公共図書館の幾つかでは、寄贈ブック・トレード・センターが設立されており、決められたエリア、ブック・トレード管理システムに基づき、それぞれの図書館に訪れる読者に対しブック・トレード・サービスが無料で行なわれています。一例として、広東省立中山図書館、深セン図書館、東莞市図書館、肇慶市図書館などの公共図書館がこの種の寄贈ブック・トレード・センターを運営しています。

資料の出典:張茜,公共図書館「ブック・トレード」イベントの実践と思考[J],山東省図書館学刊,2021(2):63-67,76