「上海は徐家匯源から」という言葉を象徴する、百年以上の歴史を誇る歴史的建造物といえば、1847年に創設された上海で最も由緒ある近代図書館である、徐家匯蔵書楼でしょう。ここは、中国が西方から得た学術や文化、そして中国が西方に伝えた同要素が交錯した重要な場所であり、そのシンボル的な存在となっています。その徐家匯蔵書楼が、7カ月の修復期間を経て、ついに入館可能となりました。
現在の徐家匯蔵書楼は1896年に修築され、南北に交差する2棟の建物とされました。南館は1931年に比較的大規模な改築が施され、2階大ホールには土山湾絵画館を創設した範廷佐氏が、19世紀半ばに制作した作品である2点のレリーフ立像が保存されています。
徐家匯蔵書楼大書房の外観
北館すなわち大書房は1897年に建てられ、その建築スタイルは中国と西洋双方の要素が取り入れられたデザインで、上下2層の切妻屋根となっており、レンガと木材が使用された構造で、南北両棟には、米松材を用いた尖頭アーチ型の窓枠と雨戸が備え付けられています。
徐家匯蔵書楼大書房の室内
蔵書の展示方式はバチカン図書館と似ており、書架の棚は下から上まで設置され、中央部には廊下が備え付けられているため、上から下まで収められているすべての書籍を取り出すことができます。蔵書として収められているのは、15世紀以降のおよそ5万冊に及ぶ各種の西洋文献です。下部には中国語の書庫があり、その造りは明の時代の寧波市天一閣で使用されているのと同様の構造で、蔵書は、経書、史書、先秦百家著作、文集、叢書の5種に分類され、原文の中国語古書は12万冊余り保存されています。
今回の徐家匯蔵書楼修復の後、特別なイベント「歴史的公文書―十七世紀後の中国・海外新聞雑誌秘蔵展」が開催されています。観覧をご希望の方は、QRコードをスキャンするか電話にてご予約ください。予約の電話番号は、021-64874095(月曜日から金曜日:8:30-17:00)です。