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中国図書館だより
「新型コロナウイルス肺炎」抑制期間における中国の図書館臨時サービス調査

 図書館は公共文化機関として、コロナウイルス問題にどのように対処してゆくべきなのかというテーマが、現在この業界団体の考えるべき課題となっています。この面における調査を行なった結果、以下に挙げられている、中国国内の図書館が提供している暫定的かつ主要なサービス分野を見いだすことができます。

 

1、デジタル資源サービス

 公共図書館は豊富なデジタル資源を提供しており、3つの方法でそれらの資源にアクセスすることができます。一つ目は、登録せずに直接リンクをクリックするかQRコードをスキャンすることにより、たとえば国家図書館EBSCO関連のデジタルバンクにアクセスが可能です。二つ目は、読者カードと紐づけを行なうか、読者カードがないユーザーは実名でバーチャル電子閲覧証を登録し、天津図書館や河北省図書館になどにアクセスできます。三つ目として、提供されているパブリックなIDとパスワードにより、読者はデジタル資源を閲覧することが可能です。

2、ボランティア活動

 2月26日までに、中国全土に点在する150余りの図書館および関連機関は、大量の供給物資を集めており、その中にはマスクおよそ5万枚、手袋およそ35万千双、旬の野菜30トンなどが含まれます。

3、オンラインイベント

 首都図書館、南京図書館、新疆図書館が開催したコロナウイルス対策の情報イベントや、河北省図書館などが関連イベントを次々に企画および実施をしました。

4、「読書療法」サービス

 図書館は、書籍やビデオ、公開レッスンなどの方法でこのサービスを提供しており、国家図書館、蘭州大学図書館、福建省図書館が、推薦図書やアニメーションを通し、不安などに対処するアドバイスを提供しています。

5、ウイルス対策関連情報の広報活動

 図書館は、コロナウイルス関連の情報を告知し、関連書籍、公開レッスン、マスクや消毒液の正しい使用方法、アニメーションによる広報、ニュースなどを読者に伝えており、四川省図書館、チベット自治区図書館などは、少数民族へのコロナウイルス対策広報活動の支援をしています。

6、コロナウイルス関連の風説を見極める

 たとえば上海図書館は、「コロナウイルス肺炎が流行する期間中いかにして正確な情報を得るか」という記事を掲載しており、雲南省図書館のWeChatアカウント内では「コロナウイルス肺炎風説粉砕機」アプリが登場、武漢大学図書館は読者向けに、情報リテラシーの向上をテーマにしたMOOC(大規模公開オンライン講座)やアプリケーションを提供しており、ユーザーが正しい情報と誤った情報を見分けることができるようサポートしています。

 

 

出典:

亢﨑 李揚揚 張莉 張海龍、「新型コロナウイルス肺炎」流行期間中における中国図書館の臨時サービス調査と分析,晋図学刊,2020-07-02