4月23日の「世界図書・著作権デー」に合わせ、上海図書館は2020年「夢を追い、未来を読む」読書シーズン企画の一環として、「上海図書館の夜-読書で街に灯りを」と題する「クラウドイベント」を読者のために設け、新境地となるクラウド上の交流会を開催しました。
書をもって「疫病」と対峙し、春の雲を遊歩する上海図書館
4月23日は1年に1度の「世界図書・著作権デー」です。毎年この日は世界中の国々で様々な祝典や読書推進イベントが催されることから、「読書人の日」とも呼ばれています。しかしながら、2020年の「世界図書・著作権デー」は特別な日となりました。現在においても、世界のいたるところで新型コロナウイルス肺炎との闘いが続いているからです。ウイルスは人々の健康を脅かすだけでなく、多くの人の心にも苦しみをもたらしています。この特別な「世界図書・著作権デー」に、上海図書館はウイルス防止・抑制期間の図書館開放が制限されている状況の中で、今もっとも注目されているクラウドを利用したライブ放送を初めて行ない、第三回となる「上海図書館の夜」を開催しました。読者同士はこのシステムにより「クラウド」上で会うことができ、上海図書館のこれまでの歴史、そして現在と未来について語り合いました。上海図書館管理委員会の主席である楼巍氏が、百年の歴史を持つ上海図書館所蔵の旧式プレーヤーのスイッチを入れ、美しい名曲「花好月圓」のレコードがかけられ「上海図書館の夜」の序幕となりました。
楼巍氏が「上海図書館の夜」の序幕式を執り行なう
ライブ放送の当日、「試練と前進―2020年各界著名人が綴る打倒ウイルス手記展」が、上海図書館第一ホールで開幕し、各界著名人らが打倒ウイルスをテーマとし、上海図書館に寄贈した手記96作品と、ウイルスと闘うために第一線で活躍した医療従事者、記者および機関が提供した30の歴史文献価値を持つ実物資料が展示されました。
周徳明氏がクラウドイベントを指揮した
この手記展覧会のほかに、今回のライブ放送は上海図書館を懐かしく感じている読者の気持ちに応えるイベントとなり、図書館員たちがウェブカメラを通してそれらの読者をクラウド上海図書館の多空間へと導きました。その中には、170年の歴史を持つ除家匯蔵書楼、未来図書館デザインによる創・新空間の探索プログラムや、現在急ピッチで建設が進められている上海図書館東館の様子を読者にいち早く見てもらい、激励、研究、交流および創新といったテーマが集結し一体化したこの融合空間の建設状況を知ってもらうプログラムが含まれています。
時の人が集い、読書の素晴らしさについて語り合う
何建明氏、樊錦詩氏、陳超氏による「読書の素晴らしさをいかにして見いだすか」対話プログラム
このライブイベントでは特別ゲストとして中国作家協会の副主席である何建明氏、敦煌研究院名誉院長である樊錦詩、上海図書館館長である陳超氏による「大読書時代、読書の素晴らしさをいかにして見いだすか」をテーマにしたライブ対話プログラムが執り行なわれました。その中で、樊錦詩氏が編さんし自身のサインをしたためた「莫高窟第266-275窟考古報告」の寄贈が行なわれると共に、何建明氏が寄贈した詩歌作品「見到太陽、真好」の直筆原稿が上海図書館第一ホールに展示されているため、陳超氏が上海図書館を代表してこの両者に寄贈証明書を渡し、感謝の意を伝えました。
さらに、英国国家図書館の館長およびイタリア・ミラノ市図書館の館長がそれぞれビデオ映像を通して図書の推薦を行ない、読書には国境がないことを知る機会ともなりました。
心奪われる読者、多様化した双方向体験に驚きと喜び
劉煒氏が「上海市公共図書館2019読書報告」を発表
上海図書館副館長である劉煒氏が「上海市公共図書館2019読書報告」を発表し、2019年において73万9400人が上海市の公共図書館で書籍を借り、貸し出した書籍は6,272万冊余り、借りた本が最も多い読者は1,703冊もの図書を借りた、といったデータが公表されました。
上海図書館が掲げる文化創造の理念について林峻氏が語る
上海図書館の林峻副館長は、読者に対し上海図書館の文化創造をコンセプトとした新たな構想や楽しみ方を紹介しました。
さらに今回は、古書の修復に興味を寄せる読者を楽しませるプログラムとして、研究員が上海図書館所蔵の善本から推薦作品をライブで紹介し、上海図書館歴史文献センター古書保護・修復部の館員による展示も行われました。