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中国図書館だより
「2016年中国図書の世界各国図書館に対する影響調査報告」発表
  2016年8月26日、中国出版集団傘下の中国出版伝媒商報と中国図書進出口(集団)総公司は、北京外国語大学と「2016年中国図書の世界各国図書館に対する影響調査報告」を北京で共同発表しました。同報告は2012年から毎年発表されており、5回目となった今年の報告では、国外図書館に収蔵されている中国の図書と出版社のランキングが発表されています。これは、米国OCLC(オンライン・コンピューター・ライブラリーセンター)の世界図書館蔵書データを基に、中国大陸の出版社600社が2015年に出版し国外の図書館に収蔵された図書数を調査分析して導き出されたものです。
  報告によると、中国大陸の出版社が2015年に出版した図書のうち国外の図書館に収蔵されたものは7万672種でした。これは調査開始来最高数で、前年の4万6359種より2万種以上増加(増加率44%)しています。これにより、国外図書館収蔵の中国図書は、2年間連続で二桁台の増加を見せたことが明らかになりました。今年の報告からは、老舗また大手出版社出版図書の増加率が依然として高い一方、化学工業や建築工業といった専門書の増加率も非常に高いこと、現代文学、青春小説、ネット小説などの収蔵数が増えていること、国外図書館が文学や小説を重点的に収集するようになっていることなどを読み取れます。報告は、老舗や大手の出版社の情報発信能力が高いレベルを維持していること、専門書の出版が出版分野開拓や図書収蔵数増加に貢献していることを示しています。中国大陸の出版社がこの数年取り組んできた、出版資源拡大、国際マーケティングネットワーク構築、国際化などのレベルが向上しているといえるでしょう。
   分野別で収蔵数が最も多かったのは、中国現代文学でした。厳歌苓の新作「床畔」が、52館で収蔵数1位になっています。
  調査チームは、中国図書の世界に対する影響を明らかにするためには現行の調査項目だけでは不十分で、国外での中国語図書出版権、中国語に翻訳されて中国で出版される外国語図書などについても調査する必要があると指摘しています。今のところ、調査項目は中国の出版社が出版して国外図書館に収蔵された図書数の収集と分析に限られているため、調査チームは現在、「中国図書の世界各国図書館に対する影響調査報告」の国際性向上に向け、同報告に含める実情に即し実行可能な調査項目を検討しています。