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上海市民読書アンケート調査の結果発表―最も読まれるジャンルは文学・歴史
  上海市民を対象にした2015年読書状況アンケート調査が実施され、紙媒体の方がデジタル方式より良いと思っている人の割合は全体の68.4%に上ることや、最も読まれるジャンルは文学・歴史であることなどが明らかになりました。
   今年1月に始まった「上海市民読書状況アンケート調査(2015年)」の結果がこのほど発表されました。本調査は、上海市民の読書に関する状況、行動パターン、ニーズ、関心を持つ分野、考え方、読書方式などを調べるため毎年行われているものです。今年の調査ではデジタル方式と紙媒体の読書時間差がさらに縮まったことが明らかになっており、専門家は現状を反映したものだと見ています。
デジタル読書が増加
   アンケートに応えた人のうち大多数は、読み応えがあるのはデジタル方式より紙媒体の方だと回答しており、紙媒体が依然として支持されていることが分かります。一方、デジタル読書の時間も前回より増加しました。読み応えがあって好きなのは紙媒体の方だと回答した人の割合は全体の68.4%に上りましたが、デジタル方式で読むと答えた人の割合も去年より3.52ポイント増加しています。また、読書時間を紙媒体とデジタル方式で比較すると紙媒体の方が多かったものの、差は僅か5.45ポイントでした。さらに、ジャンル別で最も読まれるのは、文学・歴史であることも明らかになっています。
読書時間―短い人も長い人も増加
   一日の読書時間を尋ねる質問には、半数以上の人が30分以上と答えており「30分読書」が主流になりつつあることが分かります。同時に、読書時間が長い人の割合も短い人の割合も上昇しました。
   一日の紙媒体読書時間を見ると、15分以内の人の割合が18.46%に達している一方、1時間以上の人の割合も20.06%を占めておりどちらも去年より上昇しています。読書時間の短い人と多い人の両方が増加したことの要因として、大都市の忙しく慌ただしい生活環境、情報伝達や読書方式の多様化、政府による読書推進などが考えられます。
図書購入費は毎年上昇
  今回の調査では、毎年本を4冊以上読む人の割合が60.41%、18歳以上の市民の年平均読書冊数が6.517冊、7-18歳の若者の同冊数が11.165冊となっており、いずれも全国平均を上回っています。
また、年間図書購入費が1,000元以上と答えた人の割合は6%で、購入方法を見るとオンラインの方が書店より多く、後者は全体の10.05%でした。さらに、まずデジタル方式で見てから紙媒体を購入したことがある人の割合は70.87%に上っていることから、無料ならデジタル方式で見るという人が多いことも分かります。


記者後記:デジタルでも内容ある読み物が不可欠
   デジタル技術の進歩が続く「インターネットプラス」時代である今、読書時にデジタルと紙媒体のどちらを選ぶかに対する考え方の違いははっきりしています。携帯電話など読むのに便利なモバイル端末が普及し、「通り一遍で短時間にさっと読む」スタイルが時代の流れになっているため、出版する側はこうした流れをくみ取る必要があると考える人もいます。
紙媒体を選ぶ理由で多かったのは、1位「じっくり読みたいから」、2位「収集や保存のため」、3位「権威性や学術性を考慮して」で、2位と3位は昨年と入れ替わりました。紙媒体を選択する決め手になるのは、読書の目的、ニーズ、質、効果、感覚、コストなどの要素だと言えます。
   今後は、便利で手軽な読書方式が主流になるのは間違いありません。将来の調査では、デジタル方式を選ぶ人が紙媒体を選ぶ人より多いという結果が遅かれ早かれ出るでしょう。出版する側は調査結果をよく吟味し、1度目を通したらすぐ忘れてしまうポイ捨て情報を量産するのではなく、じっくり読めて考えさせられる読み物だけが生き残り、内容が良ければ廃れることはないという点を銘記すべきなのです。