2014年3月4日、上海市図書館業界協会と上海市書籍刊行業界協会は、「『全民読書推進・先進業界創設』戦略提携契約」を締結しました。同契約では、業界間の垣根を取り払い、業界相互の資源を活用することにより、市民読書促進のための新しいサービスシステム「市民読書共同体」を設立することが定められています。
上海市公共図書館の貸し出しカード「一卡通」を所持していれば、同市公共図書館200館以上で一回につき図書を10冊まで借りることができます。読み終わった後は、どこの図書館に返却しても構いません。また、現在流行しているネット小説など、5万冊に及ぶ電子書籍を無料で読むことができるほか、上海新華傳媒集団のチェーン店10店、上海上図書店、季風書園の書籍を1割引で購入することもできます。今後、同カード所持者への新たな読書サービスを導入することや、4月末までに購入割引実施店を100店以上に拡大することが予定されています。
初の業界提携で書籍購入割引を実施
今回の提携で一番注目されているのは、一卡通所持者が書籍を1割引で購入できるサービスです。上海図書館は、提携事業を積極的に促進しており、同サービスが円滑に行われるよう実施書店にカードリーダーを設置しました。3月4日の同サービス開始以降、延べ1500人が同サービスを利用しました。
サービス範囲拡大と技術向上
現在12書店で実施されている購入割引サービスは、まだ始まったばかりです。両業界協会は、4月末までに上海新華傳媒集団傘下の書店100店で同サービスを開始し、民間書店にも実施を促す予定です。また今後、書籍購入の参考となるよう、上海図書館の貸し出し数と上海市内各大型書店の販売数を合わせた「図書ランキングリスト」を定期的に発行することになっています。
上海図書館の周徳明副館長は、「従来の概念からすれば、一卡通は単なる図書貸し出しカードにすぎません。しかし、上海図書館は同カードを文化的意義のあるカードにしたいと考えており、またそうすることができるのです。」と述べています。同図書館は現在、電子学生証でも一卡通と同じサービスが受けられるようにすることを計画しており、上海市教育委員会と協力し、4月上旬には学年に応じた貸し出しサービスを開始する予定です。同サービス開始と同時に同市在住の小中学生は、電子学生証の提示により、同市公共図書館で図書を借りたり提携書店で本を1割引で購入したりすることができるようになるのです。
経験や資源の活用によりサービス能力を向上
同図書館の呉建中館長は、「図書館、書店、読者はすべて、業界提携の恩恵を受けることができます。現在上海市の一卡通所持者は約200万人ですが、近い将来この数は倍になると思われます。同カードが普及すれば、潜在的読者やその読書需要を発掘することになり、書店や図書館に足を運ぶ人が増えるでしょう。両業界は、双方の経験や資源を活用することにより、全民読書推進や学習型都市建設に貢献することができるのです。」と話しています。同館長によれば、提携の最大の意義は業界サービス能力の向上です。両業界はこれまで、集客や読書需要の掘り起こし、読者をどのように引き付けるかという課題に直面してきました。しかし現在、同図書館によるビッグデータを用いた読者需要や読書傾向の分析は、一定の成果を上げており、今後書店情報も取り入れたさらに詳細な読書分析を行う予定です。こうした情報を活用すれば、書店の売り上げを増やすこともできるでしょう。
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