盛宣懐一族
                    
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筆者:

 
宋路霞

 

定価:

38.00

ISBN:

978-7-5439-3822-9


内容紹介
 
  盛宣懐一族は、近代上海の豪族である。盛宣懐は一族の中心であり、洋務運動の重要な担い手、また近代中国資本主義商工業の開拓者でもあった。彼は実業により国を救い、国を富ませることに一生をささげた。公務員でもあり商人、中国気質でありながら洋風も取り入れた盛宣懐は、中国近代史の十一の最初の試みを実現した。(最初の銀行、最初の発電会社、最初の鉄鋼連合企業など)こうして中国の近代商工業の発展に貢献し、上海に幾つもの足跡を残した。
 盛宣懐とその子孫は、上海で生活し、かつて何か所もの超高級豪邸と莫大な財産を築いた。何度も致命的な災難にも遭ったにもかかわらず、三代で上海第一の富豪として確たる地位を築いた。一族の浮き沈み、その波乱万丈の歴史は、見るものに深い感慨を与えるものだった。盛一族の歴史は、近代・現代中国また上海の歴史の縮図と言えるかもしれない。
 本書は、記録文学の手法を採用し、虚構も不適切な批評もなく、不必要に詳細な記述に走ることもない。権威ある文献と口述資料に基づいた作者は、文学的なタッチで一族の史料と歴史的写真をまとめ、芸術的な手法で百年にわたるこの上海の一族の盛衰を語る。これは単なる一族の歴史というだけでなく、社会学に属する優れた作品である。
 作者の宋路霞は、長期的にわたって一族の近代の歴史を専門にしており、20以上もの近代から現代にかけての江南地方の有名な一族の取材、調査、研究を行い、貴重な歴史的資料を大量に残している。盛宣懐一族は、筆者が長期にわたって関心を払ってきた一族であり、直接的資料や写真の収集と整理を行っている。これらの研究資料、またすでに出版されている盛一族の資料をもとに、六年前に「盛宣懐」を出版、これはこの分野での最初の試みとなった。今回の「盛宣懐一族」は、家族史また近代史という角度から、この上海の大豪族に新たな解釈を加えるものとなっている。作者は、一族内外の関係、社会的関係など斬新な視点から、盛宣懐自身とその一族の形成と変遷を捉えている。公務員かつ商人という背景を持つ西洋派富豪の百年にわたる波乱の歴史がかつてなかった手法でその知られざる側面を表すことになった。