琅函鴻宝-上海図書館蔵宋本展」開幕、60種の宋刻孤本秘帙が無料で公開

「琅函鴻宝-上海図書館蔵宋本展」開幕、60種の宋刻孤本秘帙が無料で公開

 

  上海図書館が一年に一度開催する館所蔵逸品の年展が9月15日午後、開幕しました。この「琅函鴻宝-上海図書館蔵宋本展」では上海図書館にだけある秘蔵の宋刻孤本秘帙60種が、無料で公開されています。これは上海図書館が数年来開催している、最高の文物価値および版本価値を持つ館所蔵の貴重文献展です。一つの公共図書館が主催する、宋版をテーマとした展覧会としては中国大陸では最初のものでしょう。

 中国木版印刷物で、現存する最古の主要なものは宋刻本です。宋刻本はその書と彫りがすべて芸術の最高峰に達しており、後世の板刻の芸術スタイルに深い影響を及ぼしました。後世の板刻を理解するためには、しばしばそのルーツである宋刻本から答えを見出さなくてはなりません。そのほか、原文についていえば、その後の伝本は翻刻すればするほど失われてゆき、あるものは文字の脱落や間違いがたくさんありますが、宋刻本のおかげで本来の姿を見ることができるのです。それで、明代中後期以降、宋刻本はずっと学者や蔵書家から特別に重視されています。

  上海図書館所蔵の宋刻本は200余りあり、その入手方法はおおむね二つあります。一つは政府の資金を受けての購入です。上海市政府は上海図書館の古籍収蔵や整理を非常に重視し、購入経費の点で重点的に保証を与えているので、潘氏滂喜齋などの蔵書を購入することができました。2000年にも上海図書館が米国から、著名な翁氏蔵書すなわち清代晩期の名臣、翁同龢(1830~1904)の蔵書本80種を高額で買い取ることを支持し、成功しました。そこには11種にもおよぶ宋刻本がありました。このことが国内外に与えた影響は大きく、今に至るまで各界の有識者の注目を集めています。二つ目は私人からの寄贈です。近代の著名な蔵書家の子孫が快く「私物を公共のために」と、仁和朱氏結一廬、祁陽陳氏郇齋など、数多くの貴重な蔵書を上海図書館に納めました。これらの蔵書家は中国近代所蔵書史において重要な地位と影響を持っており、彼らの蔵書は上海図書館の全国古籍所蔵における地位を確立しました。

  この中国文化部主催の古籍保護計画推進の展覧会開催と上海万博の成功に際して、上海図書館の専門員は展示する60種の宋刻孤本秘帙を注意深く選びました。刻書の場所については、浙江省、江西省、安徽省、四川省、福建省の作品を含んでいますし、部門では、官庁、個人、工房の三つの系統を含んでいます。ですから宋代刻書の多種多様な面を見ることができます。また、展覧会では展示品の主な由来を簡単に紹介し、関係のある知識書と故事来歴も紹介しています。上海図書館は文字考証を含む「琅函鴻宝-上海図書館所蔵宋本図録」をも編集出版し、学者に参考とされています。

  都市の文化シンボルとして、上海図書館は国際レベルの都市図書館の建設を目標に掲げ続け、細やかなサービスに力を入れています。このたびの展覧会は、優れた伝統文化を広く伝えて、市民生活を豊かにし、都市の文化レベルを向上させるという趣旨をもつもので、上海図書館が6年間続けて開催してきた、公益性の高い館所蔵文献逸品展です。

 この展覧会は9月24日に終了します。期間中は公開講座が開かれ、本に対する知識を普及させ、学術検討会が行われます。